毎ブラ086:居ずまいをたださないと

 きのう予告めいたことをしたのとはまた別のお話。

 元「現代のベートーヴェン」が本当に聴覚障害を偽装していたのかどうかはわからない。完全に失聴しているわけではなくとも、障害そのものはあるかもしれない。いずれにしろ、きのうから多くの聴覚障害者たちがネット上で盛んに指摘しているとおり、早計な決めつけは禁物だろう。

 ただ、この騒動をきっかけに、隙あらば偽装障害者を見つけ出して叩こうとする世間の目が厳しくなるのは間違いないと思う。もともと視覚障害の世界には、「弱視の人も白杖を使う」ことを知らない人々からの「見えてるんちゃうの?」的なイチャモンが数多くあり、ネット上でそれを見かけるたびに説明して回る当事者が何人もいて気の毒で仕方ないのだが、その頻度が今後はさらに増すかもしれない。

 また、これは障害者スポーツにも波及する問題ではなかろうか。たとえば障害の程度によるクラス分けなど、部外者にわかるように説明するのはなかなか難しかったりもする。2020年の東京パラリンピックに向けて、障害者スポーツ自体への注目度も高まるだろうから、音楽の世界で起きたことを他人事だとは思わないほうがいい。障害者スポーツに関わる人々すべてが、これを機にちょっと居ずまいをただすような感覚を持ったほうがよいのではないかと思いました。
by deepriver1964 | 2014-02-07 18:16