毎ブラ038:視覚障害者競技のクラス分け

 ちょっと分かりにくかったかもしれないので、きのうの補足。視覚障害者サッカーのクラス分けは、ほかの視覚障害者競技のクラス分けとはかなり事情が異なる。たとえば陸上、水泳、自転車(晴眼者とのタンデム)などにもB1、B2、B3というクラス分けがあるが、これはどのクラスもルールが同じなので、パラリンピックや世界選手権などの国際大会も全クラス一緒に開催される(はず)。B2で出場するつもりだった選手が、現地入りしてからメディカルチェックでB1と判定されたりもするわけだが、出場には問題ない。B1のつもりでB2に回されたりすると「やべぇ」ってなるかもしれないけど、出場はできる。

 一方、柔道やゴールボールのように、クラス分けがない競技もある。ゴールボールは全盲も弱視もアイシェードをつけてプレー。柔道は視覚の条件を揃えないので基本的には弱視の選手が有利になるようだ。どうしてクラス分け(もしくは目隠し)をしないのかは知らないので、どなたかご存知でしたら教えてください。ヤフー知恵袋にはあるかなぁ(あってもベストアンサーの信頼性は低いが)。

 ともあれ、このようにほとんどの競技でB1〜B3が同じルールでプレーするわけだが、私の知るかぎりではサッカーだけが違う。国際大会が一緒に開催されることは皆無ではないがほとんどないし、仮に一緒に開催されたとしても、「B1で出るつもりだった選手がB2に出る」のは不可能だ。チーム競技だからそんな形でメンバーを入れ替えることはできないし、そもそも違う競技だから技術的に無理。短距離の選手に「今回はマラソンのほうで」と言う以上に意味がない。B1の選手がB2判定を受けたら、ひとりで帰国するしかないのである。

 それぐらい事情が異なるので、同じブラインドサッカーの「B1」と「B2/3」とするのは、やはり誤解を招きやすかったと言えるだろう。ただ、国際的に弱視フットサルがどう呼ばれているのかは、ちゃんと調べていないのでスミマセンわかりません。以前はB1のことも「5-a-side Football B1」などと「Blind」をつけずに呼んでいたと記憶しているが、最近は「IBSA World Blind Football Championship」みたいな表記も目にするようになった。弱視のほうは「IBSA B2-B3 Futsal European Championships」などと呼んでいるようだ。だから今回の改称にあたっても「B2/3フットサル」が有力候補のひとつになっていたのでしょうかね。国際表記との整合性なんかも、今後は問題になる可能性がある。国際的にも、「ブラインドサッカー」と「ロービジョンフットサル」に統一できたりしないのかしら。まあ、そうなると「B1だってフットサルじゃん」て話になってややこしいんだけど。

 話は少し変わるが、国際大会におけるB1クラスの出場資格(出場視覚と誤変換しても問題ないかも)は変更されるのだろうか、されないのだろうか。アイマスクを着用するのだからゴールボール方式も可能で、そのほうが競技人口は増えるし競技レベルも向上するのは間違いない。弱視クラスが存在する点がゴールボールとは違うので、「弱視の人はB2/3でやればよい」という理屈にもなるわけだが、現実には、「視力は少しあるけどそっちではキツい」という選手も少なからずいる。どちらのクラスでも国際大会出場を目指すチャンスが得られないのは、いささか気の毒だと思ったりもするのである。賛否両論ある難しい問題だが、せめて議論ぐらいはされていいだろう。ていうか、以前、カルロス・カンポス前チェアマンから、IBSAも弱視選手のB1参入を前向きに検討していると聞いたんだが、あれは一体どうなったんでしょうね?
 
by deepriver1964 | 2013-12-21 17:55