2013年 12月 17日
毎ブラ034:新旧交代したフランスの10番
先日の欧州遠征で日本がフランスと試合をした際、私がツイッターなどで「あの10番はいるのか?」としきりに気にしていたのが、この選手だ。写真は2010年の世界選手権のもの。フランス代表のキャプテン、フレデリック・ヴィレルーである。名前のカタカナ表記は自信ないが、世界選手権のときフランスのプレスに発音してもらったら私の耳にはそう聞こえたのでそう書いている。2006年の世界選手権で日本からゴールを奪ったのもこの選手だし、ロンドンパラでも銀メダルの立役者はこの人だったと言っていいだろう。彼がいるのといないのとではフランスチームの戦力はかなり違うはずなので、気になっていたのである。
しかし遠征から帰国した日本選手たちから聞いた話だと、どうやら代表チームから引退したという説が濃厚で、いずれにしろ今回のフランスチームには入っていなかったそうだ。べつの黒人選手が10番をつけていたようだから、引退説はかなり確度が高いと思われる。彼をどれくらい抑えられるかが日本のディフェンス力を測るモノサシのひとつになると思っていたので、残念だ。ていうか、彼のプレイが好きだったんだよね、私。面構えもいいし。世界選手権でもやたらシャッター押してたようで、写真いっぱいありました。引退記念ってことで、あと2枚ほど披露しておく。引退してなかったらゴメンナサイ。最後のは、たぶんヒールショットを放ったところですね。
さて、彼がいなくなったとはいえ、今回も「新しいフランスの10番」は日本選手たちにとってかなりの脅威だったらしい。名前は不明だが、攻撃の中心だったフレデリックさんとは違ってDFを任されていたようだ。動きが俊敏で体の寄せが速く、ビシビシとボールに足が伸びてくる感じだったという。日本屈指のドリブラーである黒田や川村もしばしばゴール前のチャンスでボールを奪われたそうだ。
その選手にかぎらず、これは以前からフランスの強みのひとつである。2010年世界選手権の中国戦でも、試合開始当初はあのドリブルに手こずっていたが、すぐに順応して中国の攻撃を食い止め、1-1のドローに持ち込んでいた。やはりアジアのチームは、足の長い相手とはなかなかやりにくい。(※フランス対中国の観戦レポートはこちら → 世界選手権従軍レポート その6)
また、今回のフランスチームはサイドチェンジを多用していたという。足元にしっかり通るパスも多かったし、足元におさまらなくても、フェンスに当たったボールをすばやく拾ってドリブルを開始するスピードがあったようだ。これは、日本の選手たちが目指しているプレイでもある。フェンス際で潰される前にボールを保持してすぐに前進できるかどうかは、展開を有利にできるかどうかの大きなポイントであろう。
あと、サイドチェンジのときにボールを浮かせて音を消し、DFの反応を遅らせるのも近頃のトレンド。3月のブラジル代表もやっていたが、今回のフランスも盛んにそれをやっていたそうだ。「あの10番」がいなくとも、フランスは大いに手強く、さまざまな刺激を与えてくれるチームだったに違いない。
by deepriver1964
| 2013-12-17 16:26