毎ブラ030:ヤフー知恵袋におけるブラサカ(その2)

<ブラインドサッカーってキーパー重要じゃないですか? パラリンピックなどでかなりスゴいキーパー(目の見える)使ったらなんか競技の趣旨違ってきません?>

 なかなか考えさせる質問である。ブラインドサッカーは視覚障害者同士が技量を競い合うスポーツだが、GKは晴眼者だ。サッカーなのだから当然だが、GKの役割は大きい。「キャプテン翼」の若林クンのようなSGGKがセーブしまくり、そのおかげで連戦連勝のマンガみたいなチームが登場したら、「なんだかなぁ」ということになる可能性はあるだろう。言いたいことは、よくわかる。

 とはいえ、そんなことにはならないようにルールが工夫されていることも事実だ。ブラインドサッカー用の特別ルールというと、音源入りのボール、サイドフェンス、ボイの発声、コーラーの存在などがまず注目されるわけだが、GKのルールも競技を面白くする上で欠かせない。実際に試合を見ていると、GKが2×5メートルのエリアから一歩も出られないというのは、実によくできたルールだと感じる。ボールがそのエリアの外にあるかぎり、手を伸ばせば届く距離であっても、GKは何もできない。で、そんな至近距離から厳しいコースにシュートをされたら、どんなに鋭い反射神経の持ち主でも、すべてセーブするのは不可能だろう。実際のプレーを見れば、上記のような心配は現実的には杞憂だとわかるはずだと思う。

 それに、仮に「競技の趣旨が違って」しまうほど物凄いGKが登場したとしても、視覚障害を持つ選手たちは「だから何?」と言うんじゃないかな。「だったら、そいつからゴールを奪えるように頑張ればいい」と意欲を燃やすだけの話だと思うのである。回答者の「不公平ですけど・・・」とか「できるだけ公平にした方がいいとは思いますがね」といったコメントは、どういう意味合いで言っているのか私にはよくわからない。「闇翼」でも、初めてブラインドサッカーの存在を知った人が「見える人がGKやるなんてずるい」と言ったというエピソードを書いたが、それと似たような感覚だろうか。当事者の選手たちが不満を抱いているならともかく、みんな現行のルールに納得しているからこそ楽しくプレーしているのであって、おそらくは誰も不公平だなんて思ってないんだから、「余計な心配するな」と言いたい。
by deepriver1964 | 2013-12-13 21:35