毎ブラ111:コカ・コーラCMのリカルドを11月に東京で見よう!



 いやビックリしました。なんとコカ・コーラのCMに、誰もが世界ナンバーワンと認めるブラインドフットボーラー、リカルド・アウベス選手(ブラジル)が登場だ。どうしてそういうことになったのかわからないが、これは我々の「スタンド満員化プロジェクト」にとって凄まじい追い風である。この男のプレーが、11月に日本で見られるんですよ奥さん!

 そこで、リカルドのことを私の知る範囲でご紹介しておこう。端的にいえば、「ブラインドサッカー界のメッシ+クリロナ」と呼んでいいぐらいのグレートな選手である。流れるようなドリブルのスピード、敵のDF網をスイスイと抜き去るテクニック、そしてゴールの隅を狙う正確無比なシュート。それはもう、まるで魔法のようだ。人類の偉大な到達点のひとつと言っても過言ではない。

 私が彼を初めて見たのは、2006年の世界選手権アルゼンチン大会だった。この競技の取材を始めてからわずか3ヶ月後にそのプレーを目の当たりにできたのは、実に幸運だったと思う。最初に日本の選手たちのプレーを見たときも「すごい」と感心したけれど、ブラジル代表の公式練習で見たリカルドのプレーには開いた口がふさがらなかった。それを見て「こりゃあ、とんでもないスポーツだぞ」と強烈なインパクトを受けたからこそ、その後の取材にも自分で思っていた以上に熱が入ったのである。

 その大会は、当時17歳のリカルドにとって初めての世界選手権だった。しかし初戦のフランス戦は出番がなく、「あんな凄い奴をベンチに置いておけるのかよブラジルは」と、その選手層の厚さにあきれたものだ。そして2戦目。途中出場したリカルドは、自身にとっての「世界選手権初ゴール」を日本代表から奪ったのだった。それ以来、日本は今まで彼に何点取られたのかなぁ。6点か7点ぐらいかしら?

 その中でもいちばん印象深いのは、2007年にサンパウロで行われた大会で日本がやられたヒールショットですね。詳しくは『闇の中の翼たち』に書いたが、まあ、ゴールに背を向けたリカルドが電光石火の早業で見事にシュートを決めたときは、反対側のゴール裏で悶絶させられたですわ。

 リカルドが凄いのは個人技だけではない。2010年の世界選手権あたりからは、味方との連携プレーも強く意識しているように見受ける。CMでリカルドがワールドカップを撫でるとき隣にいるジェファーソン選手が、その「相棒」だ。11月の世界選手権では、ジェファーソンが出す浮き球のラストパスをリカルドがダイレクトボレーでゲット!という画期的なシーンが見られるかもしれない。そんなことが起きたら、これはブラインドサッカーにとって、いや障害者スポーツにとって、いやいや人類にとって歴史的な瞬間だと言ってもよかろう。見ないと損ですぜ旦那。
by deepriver1964 | 2014-03-04 21:22