毎ブラ044:フランス代表「週5日練習」の衝撃

 フランスとの練習試合を現地取材された清水英斗さんの記事「ブラインドサッカー日本代表フランス遠征…肌で感じた世界との距離感と“希望”」を拝読して、いろいろなことがわかった。大変ありがたいことです。驚いたのは、フランス代表監督の「私たちは週に5日間の練習をしています」という言葉であった。いや、驚いたというよりは、「ホントにそういうものなんだな…」という感じだろうか。

 日本国内の障害者競技でも、パラリンピックでのメダル獲得を本気で目指すレベルの選手たちは(個人競技であれ団体競技であれ)ほぼ毎日のように練習をしているという話は私もしばしば耳にする。しかしブラインドサッカー選手たちの日常を見聞きしていると、個人練習はともかく、代表チームでそれをやるのはなかなか大変だろう…というのが実感だった。

 代表選手たちの大半はフルタイムの仕事を持ち、社会人として忙しい生活を送っている。いまは家庭を持つ選手も増えた。ほとんどが首都圏在住とはいえ、それぞれの居住地がそんなに近いわけでもない。仕事を終えてから毎日のように集まって練習するとなれば、相当な犠牲を強いられるはずだ。怪我でもすれば、職場にも迷惑がかかってしまう。「本気で勝ちたいならあらゆる犠牲を払わなければダメだ」という正論を口にするのは簡単だけど、まあ、しかし、そうは言ってもねぇ…と、モゴモゴしてしまうのだった。しかし、モゴモゴしつつも、現にそれをやって強くなったチームがあるという事実は重く受け止める必要があると思う。

 フランスチームの「週5日」がどんなスタイルの練習なのかは、わからない。そんなに本格的なものではなく、来られる選手だけ集まってやれることをやる、みたいな感じである可能性もあるだろう。しかしいずれにしろ、複数の選手が頻繁に集まってプレーすることには大きな意味がある。ブラインドサッカーは選手同士の連携が難しいので、何度も何度も集まってお互いの抱いているイメージを理解し、共有することが大事だ。今回のフランス代表はパスがよくつながったそうだが、それも「週5日」の賜物であるに違いない。

 日本の場合、代表チームとしての練習は、月1回以下のペースで行われる合宿がメインである。それを補うための自主練習会もあるが、これも月1回ぐらい(?)だろうか。それをどれだけ増やせるかが、来年の課題のひとつと言えるかもしれない。

 ただし、日本の選手たちはそれぞれの所属クラブでの練習を毎週のように行っており、その点でフランスの選手たちがどんな感じなのかは全然わからないので、単純な比較はできませんけどもね。もしかしたら、国内のリーグ戦や選手権大会などは、日本のほうが活発だったりしないともかぎらない。地域クラブの活動を犠牲にして代表強化に励むのも、それはそれで問題があるだろう。もし「二兎は追えない」のだとしたら、どうすればよいのか。おそらく関係者もそこで苦慮することが多いのではないかと察してはいる。
by deepriver1964 | 2013-12-27 15:56