毎ブラ004:代表合宿2日目

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 なでしこジャパンの大儀見優季選手ご夫妻の見守る中で行われた代表合宿2日目は、アヴァンツァーレつくばと埼玉T.Wingsの混成チームとの練習試合が行われた。20分×3本。1本目は0-0、2本目は田村友一(=写真左の選手。中央はロベルト、右は落合)に決められて0-1。

「えーと、このアヴァンツァーレというクラブチームは日本選手権で何度も優勝するほどの強豪でして、弱視の選手は国際大会に出られないので代表には入れないんですが、代表選手並みにうまい選手もけっこういたりするので云々」

 と、なんで私が横にいらっしゃった大儀見さんに(聞かれてもいないのに)冷や汗かきながらあーだこーだと言い訳しなきゃいけないのかよくわからないが、まあ、2本目まではちょっと心配になる出来映えの代表チームではありました。ゴールのときだけでなく、写真のように田村の突破を許す場面が何度かあった一方、攻撃は人数を揃えてガードを固める相手の守備をなかなか突破できず、ゴールを脅かすことができない。カウンターからフリーで放つシュートも、枠をとらえることができなかった。それ決めとかないと勝てないぞー。

 しかし3本目になると、まずコーナーキックからドリブルで中に侵入した佐々木が華麗にゲット。続いて黒田が左足で連続ゴールを決め、トータルスコアを3-1として、なんとか代表が面目を保ったのでありました。やれやれ。黒田トモさんは、もはや「レフティモンスター」になりつつあるんじゃないかと思うぐらい左足の決定力が高くなったなぁ。本人は2点決めたあとに打った右足のシュートについて「あれを決めなきゃダメです」と悔やんでいたが。

 ともあれ、代表チームはいまのところまだ守備の連携が発展途上という印象。4人でダイヤモンド型の陣形を作るのが基本なのだが(その陣形を見ないで作るのはもちろんそれだけでとても難しいことなのだが)、なかなかフォーメーションが安定しない。相手に抜かれた選手が移動して陣形を作り直すときに混乱しやすいようだ。

 あと、GKから「当たれ(=相手のボールにチャレンジしろ)」という指示が出てもすぐに動き出せないシーンが多いのが目に付いた。これについて守備のキーマン田中に聞いてみたところ、相手に抜かれる恐怖感があるのでボールへのアプローチはやはり簡単ではないとのこと。「相手がどっちを向いてるかわからないと、どう当たっていいかもわからないので難しい」というのは、言われてみれば「なるほど」という話ではある。ボールホルダーが向かって左を向いているのに右から当たれば、「どうぞお通りください」とばかりにドリブルコースを与えてしまうことにもなりかねない。実際、DFが相手の進路をふさぐことができず後ろから追いかける形になるケースがブラインドサッカーではとても多いのである。

 それでわかったのは、だからこそブラインドサッカーのディフェンスでは相手の体に「触れる」ことが大事なのだということであった。ボールホルダーの背中や肩に手を置いていれば、どちらに進もうとしているのかなど相手の意図がわかる。実際、今日の田中も、田村の体に触れているときは機敏に対応して相手の攻撃を封じていた。接触していない「音だけの相手」を止めるのは難しい。聴覚だけが頼りのサッカーではないことは『闇の中の翼たち』にも書いたし、7年も見てきて今さら何をという感じではあるが、あらためてブラインドサッカーの難しさと面白さに気づかされたのだった。そして大儀見選手は美しかった。
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by deepriver1964 | 2013-11-17 18:33